こうして映画とドラマが繋がる壮大なプロジェクトがスタートした。メイン監督の松居大悟を中心に、ドラマ監督の浅野、守下敏行、トミーチャンら監督陣で連携をとり、ドラマの12話分と縦横無尽にリンクしていく映画の世界観にズレがないよう確認しあいながら、美術・衣裳などの準備が急ピッチで進められた。
クランクインは2020年8月4日(火)。
舞台となる架空の撮影所――富士山の麓にあるバイプレウッド」は、都内近郊の複数のスタジオが使用され、広大なひとつの空間として設計された。松居大悟監督も「こんな素敵なスタジオ、本当にあったらいいのになって。夢がありますよね」と語る。
スタッフに配布された日割りスケジュールの用紙には、「祝!!クランクイン!!劇場版~ドラマまで約三ヶ月間、“体調管理”に気をつけて撮影に臨みましょう!」との記載がある。映画とドラマ全12話を一気に撮りきる今回の現場の生命線となるのは、まず厳密なスケジュール管理。なにせ100人の人気役者が出演するこの企画。進行がズレると、豪華キャストたち各々のスケジュールが取れなくなるのだ。「このキャストさん、この日しか稼働できない!」というパズルのようなスケジュールを組みつつ、前半で映画を撮り切り、後半でドラマシリーズを撮影する怒濤の進行。もちろんコロナ禍で定められた撮影ガイドラインに沿いながら、キャスト・スタッフ全員の健康面のケアも丁寧に行った。
クランクイン初日の撮影は、映画の序盤にあるギミックを効かせた配信ドラマ「小さいおじさん」のパートだった。元祖バイプレイヤーズの4人――田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一が登場。闇夜を走るSL列車の客車に、サングラスに黒スーツの男たちが隠れている。そこから突如始まる銃撃戦。やがて列車の窓の外に白い犬の風(ふう)が現われ、さらに巨大な有村架純の顔も……。実は男たちが乗っていたのは玩具のミニチュア車両で、そこから4人はカラフルなドールハウスに帰っていく。『バイプレイヤーズ』シリーズとしては初挑戦となる緻密なVFX撮影。いきなりの難関を乗り切ったところから今回の現場はスタートした。