大変な交通整理の中、
撮影現場を「楽しんでくれた」役者陣の懐の深さ

今回の元祖バイプレイヤーズは作品全体を「支える存在」というポジションに回った。言わばバイプレウッド撮影所という森の守護神であり、その中でたくさんのキャストたちが愉快なエピソードを織り成していく。映画ではそんな元祖たちの思いが物語の一つの核になっている。
とりわけ映画版において、ストーリーを牽引する『月のない夜の銀河鉄道』の撮影チームである「濱田組」。本人役の俳優・濱田岳の初監督作という設定であり、監督補は柄本時生。菜々緒、高杉真宙、芳根京子は出演者でありながらスタッフを兼任するという“役者による自主映画”の撮影過程が物語の主軸になっている。SLの車掌役としてキャスティングされているのは、あの役所広司だ。
そして主演は白い小型犬の「風」。この役名は大杉漣の愛犬、“風”に由来している。
「バイプレウッド」では大河ドラマのオープンセットから8スタまで、各局の連続ドラマチームがそれぞれ動いているという設定だ。この大群像劇を演出家として仕切らねばならない松居大悟監督は「とにかく微調整の連続。スタッフはみんな臨機応変な対応が求められて、交通整理が大変でした」と語る。
いくら周到にスケジュールを組んでも、どこかで進行にズレが生じてくるのが映画やドラマ撮影の常だ。撮影でシーンの順番変更があった時などは、今から撮るシーンの意味合いと映画の世界観を個々の役者に詳しく説明した。必要に応じて内容を補足する「差し込み台本」をすぐに作成した。
「もちろん僕らなんかよりも、いちばん大変なのは役者さんたちだったと思います。それでもみなさん本当に懐が深くて、楽しんで参加してくれたんですよね。当然僕らスタッフ側がその優しさに甘えてはいけないですけど、現場の雰囲気がとても良かったから、そこに救われた部分は大きいです」と松居監督は述懐する。