こうして奇跡的に(!)、当初の予定どおり10月22日(木)にクランクアップ。撮影は「映画⇒ドラマ」の順番だったため、ドラマシリーズの感動的な展開がそのまま撮影のフィナーレになった。
ちなみにフィリピンのパートは昭島で撮っている。このフィリピンという設定が生まれたのは、遠藤憲一からの要望がきっかけ。「エンケンさんが『いま現実ではどこにも行けないから、せめて映画では海外に行きたい。例えばフィリピンとかいいね!』と。今回、元祖バイプレイヤーズの4人から出た申し出はこれくらいでした」と松居大悟監督は笑う。
松居監督は「その人と一緒にやる」ってことが『バイプレイヤーズ』の根幹にあると語る。
「僕にとっては『あの人たちと現場で一緒に居たい』という気持ちが何より重要なんです。もちろん作品として面白いものを作ろうとするわけですが、それ以上に、役者さんたちの魅力的な瞬間を切り取って、それを作品としてどう調和させて成立させるかを考えている。役者さんのアドリブに対応する形で、演出も即興性が強くなるので、一回一回がセッションのような現場になるんですね。だから『この役者さんでないと、こうはならない』という場面の連続で。別の役者さんにすると別の話に転がっちゃうかもしれない。置き換えは不可能な現場なんです。だから今回の映画版も新シリーズも、100人全員に必然性がある」。
「バイプレイヤーズ」という祭りに快く参加してくれた100人の役者さんたちそれぞれが楽しんでもらえる現場にしようと、スタッフ一丸となりこの大仕事を成し遂げたのだ。
さて、そもそも今回はなぜ100人以上の役者が集めることが出来たのか?
それは元祖バイプレイヤーズの面々に尽きる。とりわけ大杉漣の存在。
誰からも愛され尊敬された大杉漣が愛したバイプレイヤーズの「現場」に皆が来訪した。スタッフも同じだった。キャスト・スタッフの全員が「大杉漣さんへの想い」でつながったのが今回の現場であり作品だ。大杉漣は現場が大好きだったという。現場で笑う役者とスタッフが大好きだった。新生『バイプレイヤーズ』は全力の「現場賛歌」なのだ。